今回は、私の仕事である本の装丁、しかも印刷の部分のお話をしてみたいと思います。一口に印刷、と言っても、実は色んな難しさがあるんです。と、その前に、まずは恒例の肌計測です。ムンムンムシムシ亜熱帯状態の毎日の中で、プロテオグリカンを塗っての計測ですが、これがなかなかおもしろい結果になりました。
!!!な測定結果
まずはいつも通りプロテオグリカン塗布後化粧水、その後15分の計測。39,7%合格ラインギリギリ足りません。でも、風呂上がり、でもってまだプロテオグリカンやら化粧水やら汗がじんわり頬に浮いているぺたぺたした、紙が飛んできたら迷わず貼り付く状態。う~ん、不思議。亜熱帯な肌なのに40%いかないのかぁ、とりあえずドライヤーを10分ほどかけて再度計測。ドライヤーの風とエアコンで身体のほてりもクールダウンしたところで頬はさらっとしてきました。紙、今ならくっつかないでしょう。そして計測、なななんと43.4%!!!盛り返した!なにかの間違いかもしれないので10分後更に計測、もう30分ほど経っているので普通の肌状態です。43%!やや下がっているものの、さらっとしているのに43%!手触りはもちっとさえしています。すごいですね、プロテオグリカン。
印刷物はコピーじゃない
さてさて。私は本の装幀という紙媒体の仕事をしています。以前デザインするまでのお話はしましたが、実はデザインをした後もまだまだ仕事は続きます。データを作って入稿するときに紙を選び、色を決めるのですが、モニターの色というのは光の3原色RGB(レッド+グリーン+ブルー)を掛け合わせたクリアーな色です。しかし紙に印刷するときのインクの色というのはCMYK(シアン+マゼンタ+イエロー+黒)という不透明なインクです。これでモニターと同じ色を再現すべく色の指定をするのですが、一番難しいのは原画の再現です。
印刷をコピーといいますが、全然複製じゃない。たとえば顔料という蛍光色のような、鮮やかな色の混じったインクを使っている場合や、ものによっては金の絵の具など絶対に同じ鮮やかさは出ないインクで再現しなくてはなりません。さらに淡い色のムラやわずかな色の変化も再現したいところです。ただ、もはや使っているインクの種類が違うのでこれがなかなか難しい。さらに用紙選びも重要です。私もこの仕事をするまでは画用紙とケント紙の違い程度しか知りませんでしたが、白い紙でも手触りや色味が違うものがごまんとあり、インクの吸い具合や紙の目の詰まり具合で印刷したときの発色やメリハリがまったく異なります。
ちょっと懐かしい感じにしたいな、とか、とにかく写真をばっちり綺麗に出したい、というように必要に応じて紙を使い分けます。入稿後、指定の紙に印刷されたものの第一弾(初校といいます)が出てきます。ここで初めて自分の選んだ紙や決めた色が正解だったか分かります。だめだなぁと思ったときは紙を変えたり色自体を変更することもあります。そして色校正というのですが、思ったように色が出ていないときは赤ペンで細かく指示を入れます。ここはちょっと赤が強すぎるとか、指定した色とちょっとずれているとか、そういうことを印刷所の人に伝えるためのお手紙みたいなものです。
例えば、指定した色なら基準となる色の掛け合わせの割合があったり、色チップがあるのですが、原画の場合はデザイナーや編集者のこだわり具合でどこまで実物と印刷物を近づけるかという伝え方のテクニックが大事になってきます。色校正は基本的には3度までというのが通常なので、スケジュールも予算もそれ以上はなかなか取れません。
印刷工場見学 色を出すって大変
先ほどお話した3回チャンスの色校正を経て、何千部と印刷所で刷られて、製本所で製本されて本が出来上がるのですが、基本的にはデザイナーは最後の校正紙を「いってらっしゃい」と見送った後は印刷所のおじさん(とは限りませんが)の手に委ねるしかありません。後は発売日直前の見本を待つのみ。その間印刷所ではどんな行程を経て印刷されるのか、その現場へ先日初めておじゃましました。
今回は絵本の印刷です。全ページ水彩絵の具で繊細なタッチで描かれた絵です。細かく描かれた田園風景に、おいしそうなお菓子、瑞々しい果物、猫の毛がとっても繊細で緻密な絵なのですがこれはどこまで再現されるのか。まず色校正の赤字を汲み取って印刷で原画をできるだけ再現できるようスキャンした画像を調整する作業、これを製版というのですが、製版を担当して下さる方がいます。そのデータを元に印刷するわけですが、今度はインクの盛り具合や紙とインクの相性などを調整して下さる方が必要になります。さらに、その間で編集者の方や現場の方とのやりとりをして下さる営業の方。それにデザイナーを含めた主にこの4者が知識や経験を駆使してひとつの本を印刷します。
製版の作業は原画を4色のインクで忠実に置き換えるよう調整したり、印刷のインクで再現できる色に置き換えて目立たせる部分を強調したり、色の濃さを調整したりして作家さんや編集者の一番その絵の中で見せたい部分を引き立たせるように調整します。その後、印刷機にかけるのですが、これが厳密に言うと印刷したときの湿度や気温、刷る枚数によっても微妙に変化してしまいます。3度目の最後の色校正を出した日から少し時間が経ってから何千部と刷る実際の印刷になるので同じデータと用紙を使用しても一度ではなかなかその通りに出すのは難しいのです。
色の濁りが出たら印刷機のローラーを掃除したり、インクの盛り具合を微調整したり、印刷機の前で出版社の編集者と製版担当、印刷担当、営業担当の方が最後の色校正を基準としてその色に近づくように試し刷りを出しては話し合って色に近づくようにしてOKが出てようやく何千部と印刷できるのです。この過程をずっと見ていて、正直こんなに印刷というものが繊細なものだとも、さらにそこにこだわって印刷しているとは思いもしませんでした。
反省です。読者の人は原画を知らない、たとえその印刷がうまくいっていようがいまいが、それが作家の方の描いた絵だと思ってしまう。私もそれまでは読者の側だったのでそんなことを考えたこともありませんでしたがその裏にはこんなにもたくさんの方の職人技と苦労がありました。本当に現場の作業というのはプロの技が見られて普段パソコンに向かって作業している私にとっては貴重な体験でした。今度本を見たときは一番最後のページの奥付にある印刷所や製本所の部分を見てみて下さい。会社の名前しか書いていませんがそこにはさらにたくさんの人の手が加わっています。
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