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プロテオグリカンができるまで 化粧品原料はどうやって作られる?

普段顔に塗っている化粧品や、あるいは口にしているサプリメントや健康食品、ほとんどの方は完成された製品しかみたことが無いと思います。パッケージにうたわれている成分なんかは目にするものの、それがつまりどういうものなのかはよく分からない、そんなことは多いんじゃないでしょうか。その成分がどこで作られているのかと聞かれても、その有用な成分がどこかで培養されてるの、化学的な工場的な、とにかくそういう施設で加工されて、化粧品やサプリメントになっているという、極めて曖昧なイメージだったりします。

そこで今回は、当サイトでご紹介している化粧品や健康食品の新成分であるプロテオグリカン、これがどこでどうやって作られているのか、お話ししてみたいと思います。

そもそも、プロテオグリカンってなんだ?

まず、プロテオグリカンってなんだというご説明を簡単に。鮭の鼻の軟骨、これを氷頭(ひず)といいますが、プロテオグリカンは軟骨の主要成分で、ここから抽出することができます。肌に塗ればヒアルロン酸並の保湿力を持ち、しわやたるみを改善し、食べれば美容によいのはもちろんのこと、関節痛の症状を和らげるなど、ぜひとも注目していただきたい素材であります。より詳しく知りたいという方は以下のリンクをご参照ください。当サイトでは、実際にプロテオグリカンを肌に塗ったり、食べたりしていただいたレポートなども掲載しております。

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で、今回はそのプロテオグリカンがどうやって作られているのか、という話です。というわけで、大元の元である鮭、ここまでまずはさかのぼってみたいと思います。

青森空港をおりてちょっといったあたり。取材は11月半ばでしたが、すでに雪が積もってました。

鮭というと川で熊が咥えている木彫りから北海道を連想される方も多いんじゃないかと思いますが、実は青森でもたくさん捕れます。そして、プロテオグリカンというのは青森県で研究が進んでいる成分だったりもします。というわけで、まずは青森県八戸市の八戸漁港へ行ってみたいと思います。

八戸でとれた鮭の、本来捨てるところ

八戸漁港。震災の面影は全くありません。

八戸というと東北大震災の津波の被害があった場所。今どれくらい復興しているんだろうと心配しつつ向かいましたが、すごいですね、他所から来た人間には津波の被害がどのくらいだったのか全く分からないぐらい、普通に漁港が機能しています。話を聞くと、施設は全部1回水に浸かってしまったものの、沖に船がでていたのが不幸中の幸いだったそうで、見る限りはすっかり日常を取り戻し、活気もあります。


さて、早速鮭があがる現場を見に行きました。時刻は朝の6時半。当然メチャクチャに寒いです。船から網で大量の鮭があげられています。


この網の中に鮭がたっぷり入ってます。


ダバーッ。


これを瞬時に、オスかメスか、卵が入っているか、大きさはどうかみたいな仕分けがされていきます。働いている方の中には女性もすごく多いです。


さて、この鮭、大部分に関して、頭は廃棄されます。なんでかって、普段鮭の頭食べてますか? ということですよね。普段どうか、どころか今まで一度も食べたことが無いという人も多いんじゃないかと思います。その、捨てる頭から有効な成分を取り出しているのがプロテオグリカンです。というわけで、その捨てるはずの頭だけが工場の方に送られます。

ずっと青森と共にある企業

青森市にある角弘青森支店。

八戸でとれた鮭は株式会社角弘という会社に送られます。この角弘という企業、別に化粧品やら健康食品の原材料専門メーカーというわけではありません。何をやっているところかというと、建築資材、保険、あるいはガソリンスタンド、1番最初は農具を売っていたそうです。なんでも津軽藩の最後の家老が創った企業で、青森の発展とともに、青森に必要なものを時代時代にあわせて提供し続けているという企業なんです。

多角経営の角に弘前の弘で角弘。そして今、青森でとれた鮭、青森で研究が進んでいるプロテオグリカン、これを扱っているというわけです。ちょっと都市部では考えられない超地元密着の企業、青森県で知らない人はほとんどいないとか。面白いですね。

鮭の頭から氷頭を取り出す世界チャンピオン

さっきの鮭が、ここに送られて格納されます。ただし、頭だけ。

というわけで、株式会社角弘プロテオグリカン推進室の室長、Yさんに案内してもらいました。敷地内の建物に入ると、そこには冷凍庫が。ここにさっきとれた鮭が送られてきます。ただし、頭だけ。


こちら、解凍した鮭の頭。上下で真っ二つに切断されています。


近くで見るとこんな感じ。目玉が半分になってるのが分かりますでしょうか。ここからさらに氷頭と呼ばれる部分を取り出します。


全然関係ないですが、鮭って結構キバが鋭いです。ガオー。


そして、その鋭いキバの鮭から氷頭を取り出すためのマシンがこちら……なんですが。スイマセン、企業秘密ということでモザイクがかかっております。一口に鮭といっても大きさが色々あるわけで、そこから自動で氷頭を取り出すというのが難しく、現状はこの謎マシンを使って行なう手作業。

こちらもモザイクですいません。鮮やかな手つきで、ものの十数秒で氷頭を取り出すYさん。以前はパートのおばさんを雇ってお願いしていたんですが、1日で1キロぐらいしかとれなかったんだそうです。それが、この謎マシンを開発し、熟練のYさんが操作すれば1日に40キロは取り出すことができるとか。おそらくこの記録は現時点における氷頭取り出し競争世界一でしょう。

というわけで、氷頭を取り出しました。鮭の頭が一回り、二回り小さくなった感じですね。何か、化学的なことの前に、こういうアナログな手作業が行われているわけです。

氷頭からプロテオグリカンを抽出

プロテオグリカンを抽出する工場。

できあがった氷頭は同じ敷地内にある工場でプロテオグリカンを抽出します。ここでようやって、冒頭でイメージしたような、何か化学的な、工場的な、素人にはよく分からない場所が登場します。


そしてここが氷頭からプロテオグリカンを抽出している現場です……が、こちらも残念ながら企業秘密ということでモザイク。管やらタンクやらがたくさんあって、真っ白い清潔そうな服装に見を包まれた人たちが作業しています。

ここで抽出されたプロテオグリカンが、最終的には岐阜にある、一丸ファルコスという会社に送られます。そこは化粧品や健康食品の原材料を専門に扱う原材料メーカーで、ここに送られて最後の加工を施し、出荷されます。このWebサイトを運営しているのがその一丸ファルコスであると、こういうわけです。

自然の中にあるものを、人の手と知恵で取り出しています。

その先どうなるのか、例えば化粧品に関して言うと、そこから更にプロテオグリカンだけでなく他の色んな材料を併せて処方する化粧品の工場があって、できあがった化粧品の販売をする化粧品販売会社があって、そしてようやくみなさんの手元に届きます。八戸漁港から考えると随分長い道程を経て商品になるんですね。でも、最初は港からあがったあの鮭です。

加工の細かいところはお見せできませんでしたが、化粧品や健康食品の原材料、プロテオグリカンのようなものが、何か得体の知れないものではなく、港から鮭があがって、余るはずの頭を使って、そして1つ1つ氷頭を取り出す人がいてできていることがお伝えできていれば嬉しく思います。普段何気なく手にしているものも、たくさんの人の手がかかっているんですね。

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