化粧品って誰が、どんな風に作っているか、みなさん知ってますでしょうか。多くの人が知っている化粧品の会社、それはほとんどの場合、化粧品の販売元です。そして必ずしも、化粧品の製造元ではありません。ごく限られた大手で、自ら工場を持ち、製造も販売も全て行っているところでなければ、化粧品を売る会社と、作る会社は別です。そしてさらに、化粧品を作る工場と、その原料となる成分、ヒアルロン酸であるとか、コラーゲンのような原料を作る会社も違います。
しかし、多くの場合、化粧品を使う人が情報を得るのは、化粧品の販売元、売っている人達からですよね。コラーゲンの話をする時、コラーゲンを化粧品に調合している人や、コラーゲンの成分について研究している人の話は、あまりでてきません。
ところで、当サイトは「プロテオグリカン生活。」と題しまして、プロテオグリカンという化粧品や健康食品の為の新素材を紹介するサイトで、実は、化粧品や健康食品の原材料メーカー、一丸ファルコスが運営しています。というと、はい、化粧品の中身を作っている人達にお話を聞くことができるんですね。というわけで、「プロテオグリカン生活。」編集部が、一丸ファルコスの本社がある岐阜まで行って、実際に化粧品原料の研究をしている方達にお話をうかがってきました。
登場するのは、化粧品原料を開発している一丸ファルコス 開発部 製品開発二課のTさん、同じく製品開発二課のMさん、そして、営業部 営業一課のUさんです。化粧品の話ということで、折角ですから女子社員の方にお集まりいただきました。
化粧品の中身ってどうなっているのか、高い化粧品は効果も良い? 有効成分ってどのくらい入ってる? 中にいる人にしか分からないお話をたくさんしていただきます。
編集部:今日はよろしくお願いします。Tさんと、Mさんは、開発ということで、原材料の研究をなさっている方ですね。化粧品の中身がどいういう風に作られているか、伺いたいと思います。Uさんは営業の方ということで、業界の中のお話を聞かせていただければと思います。
T・M・U:よろしくお願いします。
編集部:早速ですが、実は今日、何もないと話をするのも難しいと思いまして、Twitterで質問を集めてきました。普通のユーザーさんは化粧品の原材料メーカーと言ってもピンとこないかもしれませんから、「化粧品の中身を作ってる人に聞いてみたい質問」という形で、みなさんの疑問を集めてきたんですね。
営業 U:なんかちょっとドキドキしますね。
編集部:答えにくい質問もあるかと思いますが、色々教えていただければと思います。
【質問1:化粧品をどうやって選んでいますか?】
編集部:最初なので、軽めの質問から。
開発 T:大学のころ、すごく、基礎化粧がすきで、自分で安めの自分が買える範囲内で色んなものを試して、感想をかいてみたりとか、そういうのを調べてやっていたんですけど、会社に入ってから、急になにもかもつまらなくなって・・・(笑)
営業 U:分かります!
開発 T:テンションが・・・
営業 U:上がらない!
開発 T:それまで結構趣味みたいな感じで色々、ねえ、広告をとっておいたりとか、パッケージとか金額とか入ってるものとか、調べておくのが好きだったんですけど。
編集部:そういうのが好きだからこの業界に入ったのでは?
開発 T:そう、そうなんです、入ったんですけど。選んだりすることとか、化粧品フロアを歩いたりすることが、なんだか急に楽しくなくなってしまったりして。なんなんでしょうね。
編集部:仕事にするというのは、そういうことかもしれませんね。
【質問2:パラベンって具体的に何が肌に悪いんですか?】
編集部:基本的なところで申し訳ないんですが、パラベンと言うのは・・・
開発 M:防腐剤ですね。
編集部:私も、肌に良くないみたいなことが言われているのは聞いたことがあるように思います。やっぱり、良くないんでしょうか?
開発 T:それは、なんで肌に悪いってなったのかなっていうのが分からないんですが、決してそんな肌に悪いものじゃないと思うんです。安全性も確認されてます。人によって、パラベンならパラベンに反応する人もいますけど、それはみんながみんなアレルギーが起こるようなものを大量に投入しているわけではなくて、そういうアレルギーの人がいる、ということです。シリコンとかパラベンとかエタノールとかっていうのは入っていない方がいいんだろうっていう一般的なイメージで落ち着いちゃってますけど、自分が何に反応するのか分からないままやみくもにそういうものを避けていても、あまり意味がありません。
開発 M: 例えばお米ってアレルギーは無いかっていうと、あるんですよ、日本人の主食なのに。アレルギーが起こる人がいるものは全部駄目とか、そういう話ではなくて、他のものとくらべて多いのかというのがポイントで、パラベンはちょっとイメージが先行してる部分があるかもしれません。実際、ものすごい数の製品に入っている成分ですが、大きな問題にはなっていないですよね?
営業 U:それに、そういう防腐剤とか、状態を安定させるものをできるだけ減らして欲しいといいつつ、できあがったものは安定した製品が欲しい、沈殿物が無く、分離もせず、時間がたっても使える、というと、とにかく色んな有効成分を入れていくのは難しくなります。当然、色んな反応が起こりやすくなりますから。結局、限りなく水に近い中身になっていって本末転倒に、なんてこともあります。
編集部:それも、意味がないですよね。結局のところ自分にとって何が良いのか、何が良くないっていうのは、試すしかない?
営業 U:そうだと思います。そういう意味で、@cosmeみたいにみんなが体験した情報を持ち寄るサイトが人気が出たのも、すごくいいことですし、自然な流れだと思います。
【質問3:メディカルコスメと、普通の基礎化粧品の決定的な違いは何なんでしょうか? メディカルコスメが劇的に効くんですが、不思議です!】
編集部:まず、メディカルコスメとは何か、というところから。
営業 U:お医者さんが発売する化粧品、ですね。ドクターズコスメとも言います。
編集部:それは、何か例えば法的な基準があるとか、こういう中身のものをメディカルコスメと呼んでお医者さんしか販売してはいけない、とか、そういうものがあるんでしょうか。
営業 U:無いですね。
編集部:極端な話、全く同じ中身のものでも、お医者さんが販売すればメディカルコスメ?
営業 U:理屈としては、一応、はい。
編集部:製造過程としては、普通の化粧品と同じルートで作られてるんですか?
営業 U:そうですね。化粧品は、化粧品の製造販売業の許可を持っているところしか基本的には作れないので。そういう工場に依頼するのが、いわゆる化粧品メーカーなのか、お医者さんなのか、という以外に論理的に違う部分はありません。その上で、普通の化粧品がそうであるように、色んな中身のものがあると思います。
開発 T:メディカルコスメという範囲はあまりに大きすぎて、メディカルコスメだから、いい、悪いという話はちょっと難しいと思います。でももし、メディカルコスメならなんでも劇的に効くということがあるなら、もしかしたらプラセボ効果もあるかもしれないとは思います。
【質問4:プラセボ効果で本当に肌の状態が良くなることってありますか?】
編集部:丁度いいのでこちらの質問を。プラセボ効果というのは、思い込みの力で効果がでることですね。
開発 T:例えば、原材料の研究をする時に、社内で実際に使ってみて試験をすることがあります。その時、本当に効果があったのかということをプラセボ効果と比較するため、有効成分の入ったものと、そうでない偽物を使って貰った場合とを比較するんです。そうすると、アンケートなんかでは効果があると感じる人がとても多いですね。実際に測ると、そうでも無かった場合も、本人の感覚としては変化が起きたと感じている。また、肌なら肌に実際に数値で変化が起きる場合もあります。
前に、試験が終わった後、すごく自分に合ってるので余ってたら欲しいという人がいて、申し訳ないんだけど成分が何も入っていない方を使って貰ってたんですよって言うと「えーっ!?」って。
編集部:それは言わないで普通にあげたらよかったんじゃ・・・
開発 T:結局、成分が入ってた方を差し上げたんですが、正直に言わない方が良かったですかね(笑)
編集部:プラセボ効果ってすごいんですね。
開発 T:本人が効果があると感じれば、プラセボであったとしても、私は価値があると思います。
【質問5:化粧品を作る人は自分の肌で実験したりするんでしょうか?】
編集部:先ほど、社内で試験をしたりするということでしたが、折角ですから、プロテオグリカンを例にとって具体的にお話いただいてもいいでしょうか。
開発 M:一例ですが、プロテオグリカンを肌に塗った時に、どういうことが起こるのか、左側にプロテオグリカンを、もう片側にプラセボ、つまり何も成分が入っていないものを、朝晩、化粧水の代わりに塗っていただいて、1か月後にもう1回測定をするということをしました。季節やその日の天気によっても乾燥したりとかそういうこともあるので、コンコース室というところで肌を一定の状況で調整して、肌の水分量だとか、目の下の弾力を測ったりとか、そういった試験をします。
編集部:それはMさんやTさんが所属されてる開発二課でやるんですか? それとも社内の色んな人でやる?
開発 M:開発二課は5人しかいないので、例えば30人で試験をやるというと、社内の人に協力してもらうことになります。
編集部:逆に、外に出してやる場合もあるんですか?
開発 T:ありますね。
編集部:それはどういう場合でしょう
営業 U:販売戦略上ですね。社内の試験も、きちんとやってるんですけど、お客さんが外から見た場合には、そうは言っても身内でしょ、と。
編集部:都合のいいデータなんじゃないかと。
営業 U:そういうことは当然ありますので、第三者機関にデータを取ってもらうということです。
編集部:今のお話からすると、全部が全部第三者機関にやってもらう、ということもないんですか?
開発 T:ないですね。
編集部:それは理由があるんですか?
開発 T:高いからです。
編集部:ちなみに・・・おいくら万円ぐらいなんでしょう? ケースバイケースだとは思いますが。
開発 T:平均で・・・1千万円ぐらい?
編集部:いっせんまんえん!
開発 T:例えば、大雑把な話ですが、肌の試験を20名くらいでしたらそれぐらいかかります。測るオプションによって、変わりますけど、イメージとしては。ちなみに、プロテオグリカンだと肌に塗るだけじゃなくて、食べて関節に効果があることが分かっているので、膝関節のデータを外部でとろうと、その4倍くらいかかります。
編集部:よんせんまんえん! それはその、それだけのお金をかけてデータを取るということは、それに見合うビジネスが用意されてなければとてもできない話ですよね。
営業 U:例えば、社内とはいえ、データはしっかりとってますし、1人で試してなんてことはないと思いますけど、それでも、数名でやって、商品になって行く場合もあります。それはやっぱり、価格も、それなりになります。
編集部:なるほど。データというのはお金がかかるものなんですね。
【質問6:何故同等の保湿量なのに、ヒアルロン酸はベタっとして、プロテオグリカンはサラッとしている?】
編集部:では最後に、これ読者からではなく、編集部からの質問です。このサイト、一応プロテオグリカンの紹介サイトですので、恐縮ですが、意図的にプロテオグリカンの話題でしめさせていただこうかと。
実はこのサイトの特別企画で、ヒアルロン酸やプロテオグリカンは本当に保湿力があるのかという実験をしました。その時、ヒアルロン酸やプロテオグリカンの1%水溶液を使ったんですが、ヒアルロン酸はいかにもという感じでベタッとしてたんですが、プロテオグリカンはかなりサラッとした手触りだったんですね。サラッとしてるのに保湿できるのは女性にとっていいことだろうと思うんですが、なんでそうなるのか、というお話を。
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開発 T:ヒアルロン酸というのはプロテオグリカンに比べると、分子量が大きいものなので、乗った感じはあるかもしれません。
編集部:えーと、分子量というのは、分子の質量のことですね。分子、つまり水だったら、H2O、二酸化炭素だったらCO2とか、そういう単位のものがヒアルロン酸は大きいと。
開発 M:1%水溶液というのは、実はかなり濃いものです。口の小さい容器に入れていたら、ヒアルロン酸だとでてこないかもしませんね。
開発 T:私は、ヒアルロン酸の試作品の余りを持って帰って、使おうとしたことがありまして。乾燥肌で足に塗ってたんです。やっぱり濃い方がいいだろうと思ったら、見事に容器から出てこなくなりました。
編集部:なにしてるんですか(笑)
開発 T:試作品ってそのままだと捨てるだけなんで、いいかなって、もったいないかなって思って。それで、2リットルのペットボトルに移して薄めたりして使ったんですが、それでも靴下をはく時ベタベタしたりしましたね。
営業 U:プロテオグリカンはサラッとしているんですが、肌に塗った時の保湿力は、ヒアルロン酸と同等であることが、私たちの実験データではでています。ということで、ぜひぜひ、色んなメーカーさんに使っていただければと思います。
編集部:さすが営業さんですね、宣伝していただきました。というわけで、無事、プロテオグリカンのお話もできたところで、ここまでとさせていただきます。本日はありがとうございました。プロテオグリカン生活。では、公式Twitterなどもありますので、こんな話を聞いてみたい、なんてご希望がありましたら、そちらにツイートいただけると、またこういう機会でお答えすることもできるかもしれません。どうぞ、よろしくお願いします。それでは!
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